子供が勉強のやる気を出すには?やる気の出ない理由と対策方法
脳科学で紐解く子供が勉強にやる気を出す仕組み
明石家さんま『ホンマでっか!?TV 』でお馴染み、脳科学者の澤口俊之によれば、人間がやる気を出す仕組みは…
「報酬への期待を感じたとき」に尽きる
『脳科学から見えてきた!やる気を高める4つの方法』
と述べています。さて、ここで重要になるのが、「報酬」とは何かということです。
子供が勉強をやる気になる「報酬」とは?
「報酬」の中身は、子供の価値観によって変わってきます。
・おもちゃやゲームを買ってもらうこと
・テストの順位による達成感
・学ぶ楽しさ
・先生からの評価
・親からの褒め言葉
・お小遣いを止められないこと
・好意のある相手に勉強を教えてあげる機会
など、子供の置かれている環境や大切にしている価値観によって、大きく変わることをまず覚えておいて下さい。
親から「与える式」の報酬では、やる気は持続しない
子供の勉強にやる気を出させるうえで大事なのが、「アンダーマイニング」効果です。
与えられた報酬によって期待して高まったやる気は、報酬が与えられなくなると、消えるだけでなく、もともとあった小さなやる気さえ奪ってしまうのです。
親が「宿題をやったら○○をしてあげる」という交換条件は、ある程度の機会では効果的でも、やる気をずっと持続させる対策としては頑丈とは言えません。
親が交換条件で、子供の「やりたい」を殺してしまうことも
親が絶対持つべき10の心得』の中の<心得4>「子供にとっての勉強の必要性。勉強が不要な場面は意外と多い」でも、述べていますが、子供が興味を大きく抱いている分野こそ、子供が勉強よりも勉強らしく学ぶことができる大事な機会です。
交換条件で、子供が掘り下げたいと思っているジャンルに取り組む機会を妨げると、子供の心は傷つく可能性もあります。
親と子供の良好なコミュニケーションが土台となって、交換条件で報酬を差し出す方法が活きてくるのです。
始めないから、やる気が出てこないは嘘
全国に多くの教室以上を展開する個別指導の有名学習塾である明光義塾。そんな明光義塾の公式サイトに、
『始めないから、やる気がでてこない』のであって、やれば次第に気持ちがのってきます。
という記述がありました。しかし、これは厳密には間違いです。塾において、一番大事なのは「授業の始まりの動機付け」です。
明光義塾なら、一人ひとりとしっかりと向き合い生徒のやる気を引き出す授業を行います。
という記述があるため、明光義塾の動機づけの技術が土台としてあるならば、「やれば次第に気持ちがのってきます」という意味でしょう。
しかし、今回の記事を読み終わる頃には、親御さんも、子供にきちんと動機付けを行う技術が備わっていることでしょう。
勉強のやる気が出ない7つの理由
さて、子供のやる気を出せると言っても、子供は常に同じ理由でやる気が出ないわけではありません。
子供がやる気がないとき、その個人ならではの様々な事情や理由を抱えているのです。子供がやる気がでない理由は、以下の7つを挙げることができます。
理由1:無知・未知
勉強について、<知らない・分からない>と、不安やプレッシャーが襲います。弁巨の時間がネガティブな感情ばかりで覆われ、つまらないものになって、結果、やる気が出なくなります。
無知・未知は、勉強から好きという気持ちを抜き去り、やる気を遠ざけます。
理由2:経験不足
取り組んでいる科目や単元が子供にとって経験不足の場合、「できる」という見通しつけづらくなります。経験不足はイメージの欠如を招きます。
あらゆることにイメージが湧かなければ、ポジティブなマインドに自分を持っていくことができません。結果、心がフワフワして、やらない、やっても続かないという状態になってしまいます。。
理由3:体調不良・心身疲労
疲れてるからやる気が出ないという状況です。やっても身体が持たずに、心が折れてしまい、身体を痩せませたいという欲求が心の中を占めていきます。
理由4:悩みを持っている
悩みが心や行動を支配している場合、子供は目先の勉強どころではないという状況になります。
子供の悩みをきちんと聞き出し、親として協力してあげることが、やる気を引き出す近道になっていきます。
理由5:安易過ぎる
やればできることが分かり過ぎている、やることの意義をまったく感じられない場合、子供は勉強に対して、やる気を失ってしまいます。
他に興味のあることに真剣になっていれば、問題ありません。もしかしたら、周囲の環境にある勉強では物足りていないかもしれません。
理由6:興味が多すぎる
興味が多すぎて、多忙を極めてしまい、結果、勉強が興味としての順位が下がってしまい、やる気がなるケースもあります。
いわゆる一般的な勉強だけが、勉強だけではないことは、このサイトで口酸っぱく述べています。興味を注ぎ、知識と技術を深めながら、自身の魂でトライ&エラーしていれば、子供はしっかり日々、人生を勉強しています。
子供が楽しく勉強をする報酬テクニック3選
やる気に重要なのが、脳内のドーパミンです。一般的に、若い頃から成功体験を得ていると、ドーパミンの分泌量は高まる傾向にあります。
しかし、ドーパミンの分泌量は、好奇心超旺盛の幼年時代である5歳をピークに、その後は下がり続けます。だからこそ、みんな「やる気」と闘うわけです。
そこで、やる気を引き出すのに重要は「報酬」をうまく理解したテクニックを用いることです。ドーパミンは、思考力や決断力もアップさせ、モチベーションも能力も最大限に発揮されます。
テクニック1、「褒める」という報酬を極める
褒めれば良いというものではありません。子供の置かれている「今」という状況で、どんなことを褒められたいと感じているのか、理解する必要があります。
<子供が褒められたいこと>=<なりたい自己像>なわけですから、それを勉強と結びつけてあげれば、勉強をすることがなりたい自分になるための作業になります。やる気が湧くわけです。
そして、親から褒められたら、さらに嬉しいでしょう。本当に褒められたい相手が親だとは限りません。子供が「いつ、どこで、誰に、何を、どのように」褒められたいのか、自然な会話の中から汲み取るようにしましょう。
テクニック2、子供が自分から報酬を提案してくれる親子関係になろう
与えられた報酬に慣れると、元々の小さなやる気さえも奪ってしまうアンダーマイニング効果は、説明しました。
そこで、大事なのが、子供が自分で考えて、報酬を提案する関係性を作るということです。
例えば、子供の方から「今度、定期テストがあるんだけど、もし、成績が10番以内になったら、好きなゲームのソフト1つ買って欲しい」と報酬を提案してくるパターンです。
この時点で、子供は自分の現状について考え、そして、自分の手に入れたいものと勉強を自分で紐づけ、さらには親に営業という名の提案までしていますね。スゴイやる気です。
テクニック3、プロセスを乗り越える心地よさを報酬にさせる
自分が嫌いなことに向かい、乗り越えたときの心地よさを子供が報酬として考えられるようになれば、ストイックな一面を身に付けることができます。
一問一問と向き合って、乗り越える知的好奇心の刺激から、勉強という時間を乗り越えた後のゴールデンタイム。
大人であれば、真剣に向き合って仕事を乗り越えた後の一杯は最高ですよね。勉強に向き合っている際の知的好奇心から、勉強終了後に最高と思える瞬間までを、親がサポート・演出することで、子供はやる気を自分で引き出せるようになります。
親は子供のセルフコーチングの力を促そう
自分に向かって「能力を引き出す質問」をするのがセルフコーチングです質問することで、視点を変えて、気づきやひらめきを促す、目標を設定していきます。
言ってしまえば、セルフコーチングは「自問自答」の技術です。
セルフコーチングの4つの技術
1. 聞く・聞き分ける
2. 質問を創り出す
3. 要望する
4. 承認する
セルフコーチングについては、まず、子育て目線からのコーチングについての理解を深めると良いでしょう。
おススメは、あべまさいさん著の『子育てコーチングの教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)が、読みやすく、分かりやすく、そして、実践的な良書となっています。
勉強のやる気のみならず、子供とのコミュニケーション全般に適用でき、子供の成功を先導することができます。そして最後は、子供自身がセルフコーチングできるように、バッグアップしてあげましょう。
勉強のやる気を一気に上げる応急処置5選
勉強のやる気を一気に上げる応急処置があるとすれば、それは「動く」ことに過ぎません。
つまり、停滞しているエネルギーを流動的にするということです。その視点で、子供の勉強のやる気を一気に上げる応急処置を5つご紹介します。
1、有酸素運動をすることで「やる気」が上がる
「机で戦わせたいなら、机以外の場で対策を練る」という視点は非常に大切です。どっと疲れがたまらない程度に、有酸素運動で心身をリフレッシュしましょう。
最近の実験では、有酸素運動が「脳由来神経栄養因子(BDNF))」という、神経細胞の成長を担うタンパク質を増やすことが判明しています。感情コントロール力がつくだけでなく、記憶を司る「海馬」が大きくなるなど、記憶力や学習力の向上が図れる、というデータもあります。
2、目標の数を増やす、目標の幅を持たせる
勉強に対しての目標を一つの数値や程度に限定すると、到達が困難に感じられ、挫折を招きやすくなります。しかし目標の数を増やしたり、目標値の上下に幅を持たせれば、その下限には容易く到達でき、さらに頑張ろうという意欲も湧きます。
3、勉強をする姿勢を変える
椅子に座り、机に向かって勉強しているのであれば、その方法を逸脱してみましょう。アインシュタインは歩きながら相対性理論を考えたと言われています。
また、ヴィクトル・ユゴーは『レ・ミゼラブル』を立って執筆し、モーツアルトは歩きながら執筆したと言われています。
立った状態で、胸のあたり机があれば、かなりの集中力を発揮するかもしれません。また、家にホワイトボードや黒板を置き、立って、ボードに書き込めるというのも一つの手法です。
4、勉強場所を変える
周りに人がいて、勉強をしている図書館で作業が進むこともあれば、、狭い部屋に籠って人を意識せずに勉強することでやる気を発揮する場合もあります。
とにかく新鮮だと感じる場所に移動し、その新鮮味をやる気に注ぎ込むと良いでしょう。
5、音楽を聞きながら作業する
ながら作業を取り入れることで、作業全体の成分を勉強100%じゃなくする方法です。「覚える」以外の作業であれば、脳には良い刺激となります。
「やる気がなくても、やる気がある」子供に育てよう
以上、子供が勉強のやる気を出すには?やる気の出ない理由と対策方法について説明してきました。
やる気がないにもかかわらず、やる気がある。
やる気とは0というオフモードから、100というフルパワーにオンすることではありません。
自分自身の心の中に散らばっている様々な想いと、目の前のやるべきことを結びつけて、「仕方ない、それならやってやろう」ぐらいのテンションから加速し始める、これで十分なのです。
ぜひ、今回の記事も参考にしてみて下さい。
2016年7月12日
(END) Thanks for reading!